HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

HISTRIP MAGAZINE icon HISTRIP MAGAZINE

石畳の小道もわきも見逃せない 歴史旅で見つける江ノ島の魅力3選!

  • 神奈川県藤沢市の江ノ島と言われて思い浮かべるものはなんでしょうか?華やかな江島神社やカップルの聖地と言われる恋人の丘、最強のパワースポットと言われる岩屋等々。今回は江ノ島の有名スポットは行ったことがあるというあなたにこそ訪れてほしい、江ノ島の歴史旅を紹介します。

    葉擦れの音を聞きながら… 福石の前で物を拾えば幸運が訪れます

    01_%e8%97%a4%e6%b2%a2
    一つ目にご紹介するのは「福石」です。さかのぼること江戸時代。盲目の鍼医(はりい)杉山和一は、江の島弁財天へお詣りした帰り、山を下っていると、この「福石」に躓いて転んでしまいました。この時、偶然拾った竹筒の中に松葉が入っているのを見つけました。これをきっかけに、自らの鍼の術を編み出し、当時の徳川幕府将軍の徳川綱吉の病を治しました。結果、関東全域の盲目の鍼医を束ねる最高位・関東総検校にまで出世したといわれています。これにより、今でも、ここで物を拾った人は、幸運になると言い伝えられているのです。
    江島神社の入口である瑞心門を抜けて階段を登る途中にあります。階段付近ではないので通り過ぎる方もいると思いますが、静かにたたずんでいる感じが素敵です。是非立ち寄ってみてください。

    02_%e8%97%a4%e6%b2%a2
    朱色の奥には、杉山和一のお墓もあります。物を拾えずとも、出世運アップのパワースポットと言われていますので、こちらもぜひ訪れてみてください。

    江島神社中津宮のわきにある水琴窟で味わう 自然が織りなす癒しの音

    "
    辺津宮(へつみや)と中津宮(なかつみや)でお詣りを済ませた後は、ぜひ、中津宮のわきへ足を踏み入れてください。華やかな中津宮の雰囲気はがらりと変わり、落ち着いた、静かな空気が漂っています。

    04_%e8%97%a4%e6%b2%a2
    ここには水琴窟があります。日本庭園の装飾の一つで、手水鉢という水を貯める鉢からそばにある空洞に水を落とし、そこでなる音を反響させる、という仕組みです。そして、水琴の音には癒し効果、覚醒効果、浄化効果、運気上昇、そして、マイナス要素を除くといったようなご神効があると言われています。また、自然がもたらす音で高周波を放つため、人が持つ波長を刺激します。普段何かと忙しい方には特におすすめのスポットです。人込みを離れ、水琴の音に耳を澄まして束の間の静寂を味わってみてはいかがでしょうか。とてもリラックスすることができますよ。

    江ノ島中腹の石畳の道で 意外なところで見つける一遍上人と猿たち

    いよいよ江ノ島の一番奥、奥津宮へ向かいます。階段にもだんだんと慣れてきたころに、小道のわきの草木の間に小さな旧跡と塔上が姿を現します。

    05_%e8%97%a4%e6%b2%a2
    藤沢市に総本山がある時宗の開祖、一遍上人が、この地を遊行した旧跡です。一遍上人は、飲料水不足にあえぐ島民を救うため、そこに島井戸を掘りあてた、と伝えられています。そして、一遍上人の直筆とされる「一遍成就水」の額は、今でも江島神社に残されているそうです。意外なつながりの発見です。

    06_%e8%97%a4%e6%b2%a2
    07_%e8%97%a4%e6%b2%a2
    こちらは群猿奉賽像庚申塔(ぐんえんほうさいぞうこうしんとう)といいます。この塔上には計36匹の猿が彼らのご本尊、山王神をたたえ、祝っている様子が描かれており、大変珍しいものです。猿は、日枝山王神社の使者とされていて、辺津宮絵馬堂の近くにまつられていた山王神社に奉納するということで、庚申供養塔(こうしんくようとう)が建てられたと言われています。どちらも周囲を見渡して初めて目にします。目的地だけを目指して直進するのはもったいないですよ。四方八方に目を向けて旅の醍醐味を味わってください。
    今回は、有名観光地だけを目指しているとついつい見落としてしまう江の島の名所をご紹介しました。また新しい旅の魅力、江ノ島の魅力に触れてみてはいかがですか?五感を使うことで、散策の合間に変わる風のにおいや神秘的な静寂などを体感でき、何倍も楽しむことができます。現地に行かないと手に入らない情報を事前に入手いただき、江の島を満喫してほしいと思います。