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異国情緒あふれる北野のまちでおすすめする異人館7選

  • 1868年に開港した神戸港。開港とともに多くの外国人が神戸の町に移住してきました。その名残りで、兵庫県神戸市の北野町には全国的にも有名な異人館街があります。
    今回はたくさんある異人館の中から厳選した、おすすめのモデルコースをご紹介します!

     

    まずはここから!北野の顔「風見鶏の館」へ

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    JR・私鉄各線の三宮駅から徒歩約15分、ここ、風見鶏の館から異人館めぐりの旅はスタートします!
    風見鶏の館を建てたゴットフリート・トーマス氏は、ドイツで生まれました。20歳の時に来日して横浜で貿易の仕事を始めます。地元が同じであったクリステルさんと結婚し、二人の間に一人娘であるエルゼさんが誕生します。10年余り横浜で過ごした後、神戸に移住しました。
    そして1905年頃にトーマス氏の個人住宅として風見鶏の館が完成しました。
    門には「レナニア」と書かれています。レナニアとはライン河周辺のことを指し、当時トーマス氏はレナニア合資会社を経営していたことから、門に書かれていたようです。

     

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    1914年に一家は数ヶ月の予定でドイツに帰国し、その後消息は不明になってしまいました。月日は経ち、トーマス邸の取り壊しの案も出ましたが、神戸市は観光資源として館を使用することにします。そのことをドイツで知ったゴットフリート・トーマス氏の娘である婦人が幼少の頃に過ごした家だと申し出たそうです。

     

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    そのために、館内には当時のお部屋の写真や住まれていた頃のトーマス一家の写真がたくさん並べられています。
    月日は経ち、人々の記憶から忘れ去られようとしていた住宅ですが、こうして一人の記憶でまた息を吹き返したのですね。そんな感慨深い風見鶏の館にぜひ一度おとずれてみては?館内には当時の一家の写真が飾られていますよ!

     

    下見板張りの可愛らしい「萌黄の館」

     

    若草色の可愛らしい萌黄の館は、広場を挟んで風見鶏の館の西側にあります。1903年、アメリカ総領事ハンターシャープ氏の邸宅として建築されました。
    シャープ氏は、アメリカ東部のノース・カロライナ州ハートフォードで1861年に生まれ、ノース・カロライナ大学で学び来日、神戸で結婚し、まもなくこの館を建てました。1908年に神戸を去るときには、長年の功をたたえ神戸市長から薩摩焼茶器が記念品として贈られています。
    神戸を去ってからは、モスクワ、リヨン、エジンバラの領事を勤め、1923年死去するまで、生涯を外交官として活躍しました。

    萌黄の館の中へさっそく入っていきましょう。
    萌黄の館を見るには、中央から靴を脱いで入っていきます。中も若草色の壁でした。なんと一部屋ずつ部屋の色が違い、子供部屋はピンクでした。2階のベランダからは、神戸港まで見渡せる素晴らしい眺望が広がります。

    庭には、阪神淡路の震災で、落下した煙突がそのままに展示されていました。

     

     

    外壁の天然石のスレートはまるで魚のうろこ!「うろこの館」へ

     

     

    <02_kitano:うろこの家の門の写真>

     

     

    こちらがうろこの家・うろこ美術館です。10月に訪れたため屋根には魔女が乗っています。うろこの家は神戸で最初に公開された異人館で、風見鶏の館と同じく「兵庫住宅百選」に選ばれている伝統的な建物であるそうです。西洋の建築物が完全な状態で保存されているこのうろこの家は大変珍しいため、貴重な文化財となっています。
    うろこの家という名前は愛称で、天然石のスレートというもので覆われた外壁が魚のうろこのように見えることから名づけられたそうです。

     

    <04_kitano:うろこの家外観の写真>

     

     

    <05_kitano:うろこ拡大の写真>

     

    中に入ってみましょう。館内に入ると様々な展示品の数々。目を引いたのは有名な西洋の磁器製品です。
    ここには日本でも人気のドイツの名窯「マイセン」から、現存するイギリス最古の名窯の「ロイヤル・ウースター」、デンマーク王室御用達の「ロイヤル・コペンハーゲン」の磁器などの磁器製品が多数並べられています。

     

    <06_kitano:棚の写真>

     

     

     

     

    <08_kitano:ロイヤル・ウースターの写真>

     
    他にも異国の文化を感じるお部屋が多数あります。ベランダは神戸の海側の景色が一望できるベストスポットです。

     

    <10_kitano:重厚な部屋の写真>

     

     

    <11_kitano:窓枠つきのベランダの写真>

     

    そして最後に外にある「カリドンの猪」のところへ。

    <12_kitano:カリドンの写真>

     

    この猪はポルチェリーノという愛称があります。このオリジナルはルネッサンス後期の彫刻家ピエトロタッカによって製作され、今はフィレンツェのメルカートヌオヴォにあるそうです。鼻を撫でると幸運に恵まれるということで古くから親しまれています。華やかな陶磁器やお部屋で気分も上がり、パワーまでチャージできる、素敵なお家でした。
    所在地 : 兵庫県神戸市中央区北野町2丁目20-4
    http://kobe-ijinkan.net/uroko/

     

    不思議な展示品があふれる「山手八番館」で異文化を楽しむ

     

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    この山手八番館は、塔状の建物が三つ連なっているチューダー様式という珍しいつくりの館であるそうです。この山手八番館は彫刻やブロンズ像、仏像などの立体造形を中心に、壁には版画などが展示されています。館内に入る前に目に飛び込んできたのは、この天燈鬼像(てんとうきぞう)です。原型のものは鎌倉時代に作られた鬼彫刻の傑作で、国宝に指定され、奈良興福寺国宝館に安置されています。

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    中へ入ると、一風変わった木彫りの彫刻がありました。こちらはマコンデの彫刻というものです。タンザニアに住むマコンデという民族が、木の個性を見ながら手彫りするもので、数百年の歴史を持つ彫刻です。この特異な造形は、あのピカソをはじめとする多くの美術家たちに衝撃を与えました。

     

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    ルノワールによる像なども展示されています。西洋らしい風刺の版画も多々ありました。西洋らしいものだけでなく、東洋らしいものも。タイの仏像は様々な種類のものが展示されています。

     

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    そして最後に、北野の中でも特にパワーをもらえると評判のサターンの椅子です。
    サターンとはローマ神話でいうサートゥルヌス、ギリシャ神話でいうクロノスという農耕神です。椅子にはこのサターンが彫刻されており、豊穣をもたらす神の名に因んで、
    座ってお願い事をすると叶う、「願い事が実り叶う椅子」といわれているそうです。
    向かって左側が男性用。

     

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    右側が女性用です。座ると神秘的な雰囲気で、悠然とした歴史の重みを感じることができました。
    所在地 : 神戸市中央区北野町2丁目20-7

     

     

     

    中国の領事館として使用された「坂の上の異人館」へ

     

    次に訪れたのは坂の上の異人館です。

     

    <14_kitano:看板の写真>

     
    こちらは昔、中国の領事館として使用されていた館です。そのため北野の異人館の中で唯一、東洋的な外観と内装をしています。

     

     

    <16_kitano:壁の写真>

     

    館内に入ると、やはり中国の文化を感じる調度品が多くあります。

     

    <17_kitano:部屋の写真>

     

    日本の歴史にも出てくる銅鐸のようなものもありました。

     

    <18_kitano:百乳文鐘の写真>

     

    こちらは祭紀の鐘として使われていたという説が有力な百乳文鐘(ひゃくにゅうもんしょう)というものでした。

    このように中国的でありながらも、同じアジア地域である日本らしさを感じることもでき、とても落ち着いた空間です。

    そして最後に外にある狛犬のあるパワースポットへ。

    <19_kitano:狛犬の写真>

     

    狛犬は魔除けの力があるとされている、神社などに置かれる一対の獅子や犬に似た獣の像です。通常の狛犬は阿形(あぎょう)の狛犬と吽形(うんぎょう)の狛犬が一対でおかれていることが多いですが、こちらはどちらの狛犬も阿形の一対の狛犬となっています。
    この間を通り抜けると愛情に恵まれるといわれているそうです。

     
    所在地 : 兵庫県神戸市中央区北野町2丁目18-2

     

    まるで日本の長屋、外国人のアパートとして使用された「洋館長屋」

     

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    北野通り沿いに目を引くトリコロールのフランス国旗が見える、ここが洋館長屋です。洋館長屋という名前は、左右非対称に並んで建てられた二軒がつながった風変わりな外観が日本の長屋のように見えることから名づけられたそうです。元々は外国人向けのアパートであったそうですが、現在はフランスの美術品や調度品が展示されています。そのため別名、仏蘭西館とも言います。

     
    さっそく中へ入ってみましょう。
    2階へ上り、まず目に入ってくるのはフランスの美術品です。中でもアール・ヌーヴォーを代表する作家であるエミール・ガレやルネ・ラリックの作品の美しさに見入ってしまいます。

     
    次へ進むと特徴的な調度品が飾られたお部屋が並んでいます。
    可愛らしい子ども部屋もありました。
    また進むとルイ・ヴィトンの歴史の紹介とともに、19世紀末に作られたルイ・ヴィトンの船旅用のトランクがあります。

     

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    中にはハンガーのようなものがあり、見た目は今のデザインと変わらないように見えます。2階から1階へ降りると、こちらにもフランスに関する調度品の数々があります。
    ナポレオン時代の古典ピアノがあります。燭台(しょくだい)がついているめずらしいもので、鍵盤の数は今のピアノよりも少ないです。

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    目を楽しませる美しいフランスの美術品や調度品に思わず見惚れてしまいました。展示物にフランスの歴史を色濃く感じ、フランスに思いをめぐらす館でした。
    所在地 : 兵庫県神戸市中央区北野町2-3-18

     

     

     

     

     

     

    気分はシャーロック・ホームズに!「英国館」へ

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    北野通り沿いを東に進むと、英国館がありました。
    英国館は北野異人館街にある、コロニアル様式のバルコニーがそのまま残されたイングリッシュガーデンを有する洋館です。館内に入るとさっそくイギリスらしい調度品が並んでいます。
    2階には美しい調度品の数々が並んでいます。それらとともに、シャーロック・ホームズに関するグッズがありました。
    シャーロック・ホームズのお部屋もあります。

     
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    シャーロック・ホームズになりきることのできるコーナーも。インバネスケープとディアストーカーを自由に着ることができます。
    1階には、イングリッシュガーデンがあり、ゆったりと楽しむことができます。

    夜には、イングリッシュパブとしてオープンします。夜の異人館で楽しいひとときを過ごすのもいいですね。

     

     

    いかがでしたか?今回は、北野の異人館街をまわってみました。美しくも歴史深い住宅に触れ、さらに様々な美術品の数々に触れ、人々が暮らした歴史を感じながら、素敵な旅をしてくださいね。
    ぜひ北野異人館街に足を運んで、魅力を体感してみてください。

     

     

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