HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

HISTRIP MAGAZINE icon HISTRIP MAGAZINE

戦国時代にタイムスリップ!信玄公の面影見ながら甲府の魅力再発見!

  •  


    新宿駅から特急スーパーあずさ号で揺られること約1時間。
    都心からそれほど遠くない山梨県・甲府市。この場所には、武田信玄や豊臣秀吉を始め、文化や歴史を街のいたるところから感じとることができます。
    日本で唯一のワインを専門としたワイン科学研究センターのある山梨大学もあり、食を始めとして工芸品や文化財など、知られていない魅力が沢山あります。

    今回は、徒歩と自転車でぶらっとゆったりまわれる、甲府駅周辺をご紹介します。

     

     

    【甲府善光寺】開基武田信玄!重要文化財の金堂で御本堂と1つに!

    坂の先にある甲府善光寺とワイン畑の風景

    甲府駅から1駅進むと、酒折(さかおり)駅に到着します。
    甲府善光寺に行くためには、改札をでてすぐ右側にある南北自由道路を渡ります。

    住宅街を進み小道を通り抜け、少し急な坂を登りきると、ワイン畑に囲まれた甲府善光寺の姿が見えてきます。
    坂で先が見えない分、登りきった後のワイン畑と寺の融合した光景は、圧巻の一言です。

     

    重層建築の山門(重要文化財)

    住宅街を通り抜けると、重要文化財にもなっている大迫力の山門が現れます。大人2人でも腕を回せないほど太い柱で、どっしりと参拝者を迎え入れてくれます。初めに手水場で身を清めたら、御本堂が祀られる金堂へ行きましょう!

     

     

    御本堂が祀られる金堂(重要文化財)

    山門と同じく重要文化財に指定されており、善光寺建築特有の撞木(しゅもく)づくりで造られた、日本有数の木造建築となっています。本堂内には、地獄極楽図や銅造阿弥陀如来乃両脇侍立像などの仏像を始め、鳴き龍やお戒壇などがあり、見るだけではなく様々なことを体感体験できるお寺です。
    鳴き龍というと日光が有名ですが、なんとこの甲府善光寺にある鳴き龍が規模としては日本一なのだそうです!この部分のみ吊り天井にすることで、多重反響現象が起こり、真下で手を鳴らすと山びこのように鳴ります。お寺内に響く反響音はとても心地いいもので、多くの方が何度も手を叩き、この音を楽しんでいます。
    二頭の龍が互いに向かい合う姿は、なんともいえない神々しさを感じる

    順路にそって歩いて行くと、地下に続く先が真っ暗な階段が現れます。このお戒壇は、御本堂の下につくられた「心」をかたどった光の全くない道を、壁をたよりにまわるものです。途中腰のあたりに南京錠があるのですが、この鍵に触れることができると仏様とつながり、極楽浄土にいけると言われています。

     

     

     

     

    【甲府城跡地】徳川へのけん制だった?甲府城で豊臣秀吉が見た風景!

    鉄門(くろがねもん)

    甲府駅に入る電車の中からちらちらと城の石垣が垣間見え、ドキドキは最高潮に!先走る気持ちを胸に、間もなく甲府駅です!

    甲府駅に着いたら、まずはレンタサイクルがおすすめです!徒歩でも回ることは出来ますが、甲府は坂の街。目的地でゆっくり楽しむためにも、自転車を利用しましょう。駅前に2店ほどある「東横IN」にて、朝9時~午後5時まで電動アシスト自転車を借りることができます。
    体力に自信のない方でも疲れずこぎ続けることができるので、安心ですね!

    さて、自転車を借りたら約1分でいよいよ甲府城跡地です!
    今から約400年前、豊臣秀吉の命により、浅野長政、幸長によって甲府城は築城されました。江戸の徳川家康をけん制する目的で築城されましたが、江戸幕府が開かれると代々徳川一門や柳沢氏の居城となりました。現在、跡地の一部は県指定文化財に指定、「舞鶴城公園」「甲府市歴史公園」として開放され、誰でも無料で入ることができます。

    甲府城跡地に訪れたら、まずは石垣や階段をよく観察してみましょう!

    矢穴

    城内の石には星形などの線刻画や復元された鉄門の階段では大きな石を割る時に用いられる矢穴を多く見ることができます。実際に石垣や階段を間近で見て触ることで、ショベルカーや電動ドリルもない時代にこれほど大きな石を移動、加工できる技術に、昔の人々の偉大さを感じることが出来るはずです。

     

    天守台

    甲府城跡地の天守台からは、甲府の街を一望することができます。 天気の良い時には富士山を見ることもでき、多くの人がゆったりと街を眺めに訪れます。
    夜にはライトアップもされるので、昼とはまた異なる夜の甲府を眺めても良いですね。

     

     

    【ほうとう・おざら】ルーツは信玄?!戦国時代の陣中食を味わう!

    ちよだ入り口

     

    ちよだ店内。木目を基調とした暖かな雰囲気が漂う。

    大通りから一本入った小道にある飲食店「ほうとうおざら ちよだ」。
    昭和16年創業の老舗で、地域でお祭りやイベントがある時には開店前から行列のできる人気のお店です。
    山梨県の郷土料理といえば「ほうとう」が有名ですが、ちよだでは「おざら」という冷ほうとうが目玉商品となっています。同店は、ほうとうと同じく愛されてきた郷土料理「おざら」をメニューとして初めて出したお店です。

     

    冷ほうとう=おざら

    熱々のほうとうは敬遠されやすい夏の時期に冷えたつけほうとうを食べ始めたのが「おざら」の生まれたきっかけですが、同店では初めてだしたお店として一年を通しておざらが人気となっています。
    上質の鰹だしと数種類の野菜を煮込んだ正油味のつゆに、山梨県産の地粉を使用したもっちりさわやかな麺をつけていただきます。
    地域の人を始め、出張でいらしたサラリーマンが多く通い、会合などで貸切にすることもあるとか。夜からは一品料理が出され、居酒屋としても多くの方が足しげく通います。

    また、おざらだけではなく味噌ベースのカボチャほうとうも絶品です!
    定番の熱々カボチャほうとう

    ネギやしめじ、白菜、油揚げ、サツマイモと具沢山のボリューム満点のほうとうが味わえます。甲府に訪れた際にはぜひ寄っておきたいおすすめのお店の1つです。

     

     

    【銀座商店街】松林軒の「月の雫」で、現地の方と和菓子パーティー!

    銀座商店街入り口。昔ながらのお店が多く並ぶ。

    「ちよだ」から自転車で約5分。5つの商店街を横に結ぶ、銀座商店街を訪れます。みなさんは、山梨県の和菓子と聞かれて、なにか思いつくものはありますか?
    多くの方が「信玄餅」を想像したのではないでしょうか。
    しかし!山梨県にはもう1つ、古くから地元の人に愛される「月の雫」という銘菓があります。
    酸味の強い甲州ぶどうを丸ごと1粒、手作業で砂糖蜜をコーティングした秋限定のあまーい和菓子です。

     

     

    :風情漂う松林軒

    「月の雫」には元祖といわれる「松林軒」があります。(諸説あり)「子供の頃からこの松林軒で買っていたから、よその月の雫は買わないわ。」という方もいらっしゃるほど、地域に根付いたお店です。
    店内に入ると月の雫一粒と、昆布茶がでてきます。月の雫を食べたことがないという方も多くいらっしゃるので、買う前に味見をしてもらうのだそう。
    2席ほど椅子があるので、ゆっくり食べ飲みしながらおかみさんとたわいもないお話ができるのも魅力の一つです!地元の方も多く通うので、常連さんが来店した時には店内でパーティーになることも。

     

    味見のために出してくれる月の雫と昆布茶

    この日出会った常連のおじいさんは、「映画館が4つもあるほど栄えていて、映画の帰りにぎしやき(今川焼き)を食べて帰るのが楽しみだった。ちょうどエレベーターができはじめた頃だから、乗るためだけに通ったこともあったなあ。」と、40年前の銀座商店街を懐かしみながらお話してくださいました。
    観光のオススメ場所や街の歴史などを聞いてみると、そこに長く住んでいるからこそ知っている、様々なお話を聞くことができます。

     

     

    【印傳屋】信玄も愛用?武具にも使われる希少な伝統工芸「甲州印伝」

    印傳屋

    1582年創業、約400年にわたり鹿革に漆で模様付けした伝統工芸「甲州印伝」を伝承し続けるお店「印傳屋」です。
    江戸時代に上原勇七が創案したこの技法は、元々門外不出のものでしたが、印伝技法の普及のため現在では広く公開されています。
    店内2階部分には印傳博物館が併設されているので、印傳の歴史をより深く知りたい方は寄ってみることをおすすめします!

     

    模様には小桜、菖蒲、とんぼ、菊、青海波などの江戸小紋が用いられ、昔ながらの日本人らしい様式美を感じることができます。戦国時代には武将の鎧にも用いられていて、現在でも弓道(弓の持ち手である握り皮)や剣道(竹刀の柄)などで使われています。
    また、店内にある商品は全て職人が1つ1つ手作りしており、同じものはひとつとしてありません。そのため、鞄などは数万から数十万円となっていますが、その美しさからは値段以上の価値を感じることができます。財布や名刺入れもあり、ストラップなどは千円から買うことができるので、文化に触れ、工芸に触れ、旅の思い出として買っていく方も多いのだそうです。

    ストラップという小さいものからでも、印伝の美しさを感じることができる。

    漆黒の革に漆黒の漆が施された印伝は本当に美しく、眺めているだけでも着々と受け継がれてきた印伝の歴史に触れられるような、そんな気分になります。

     

     

    いかがでしたでしょうか。
    甲府の文化や歴史を感じることができましたか?
    実際に訪れてみると、WeB上ではわからない気づきや感動があるでしょう。ここでは紹介しきれない場所や魅力、文化も甲府にはまだまだありますので、ぜひ一度実際に訪れて、現地の方と交流してみてください。
    知っていたはずのことも、それだけで新鮮に感じることができるはずです。