HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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埼玉県秩父市 自然と歴史を感じる町「長瀞」の定番と新定番

  • 国の名勝・天然記念物にも指定されている長瀞(ながとろ)。長瀞と言えば、やっぱり「岩畳」は外せません。 足元には大きく平たい岩がどこまでも積み重なっていて、対岸には絶壁や滝、そして目の前に広がるのは穏やかな川の流れ。荒川の流れが穏やかな場所を「瀞(とろ)」といい、それが長く続くことから「長瀞」という地名になったのだそうです。そのまま全身で自然を感じるのはもちろんのこと、歴史を知ればさらに別の角度からも楽しむことができます。今回は、そんな長瀞の町と人の魅力をご紹介します。


    長瀞駅のレトロな電車

    切符片手に秩父鉄道を降りると、ミニチュアサイズの踏切とレトロな駅舎がお出迎え。「長瀞」の朝は穏やかです。自然と道をゆずりあって、にっこり会釈。都心から約2時間離れてみると、歴史感じる自然と、やさしさに包まれた町が広がっていました。

     

    【定番】紅葉やロウバイの薫る「宝登山」から長瀞の町を一望!

    宝登山ロープウェイからの景色

    ハイキングや初心者向けの登山スポットとしても有名な宝登山(ほどさん)。秋の紅葉に春の桜、冬はロウバイが美しい、日本の四季を感じることができる山です。
    「火止山」が転じて「宝登山」となったそうですが、「宝」という字が良く似合います。ロープウェイに5分ゆられてみるのもまた一興。少し離れたからこそ見える景色もあるものです。

    切符を切るロープウェイの駅員さん

    山頂に一歩踏み入れた途端、さわやかな風がふきぬけていきました。思い切り伸びをしてみれば、知らず知らずのうちに心の中にたまっていた悩みやストレスもすっきりしたような。人の手のぬくもりを感じる貼り紙や、昔ながらの食堂、そしてどこまでも続く山々と長瀞の町。深呼吸せずにはいられませんでした。後ろ髪をひかれつつも山頂をあとにします。駅員さんの「いってらっしゃい」の一言に、優しく背中を押していただきました。

     

    【定番】ミシュラン掲載!長瀞1900年の歴史が光る「宝登山神社」

    歴史感じる宝登山神社

    「ミシュランガイド・ジャポン」にも掲載された宝登山神社は、宝登山のふもとに位置しています。火災盗難よけの守護神を求めて参拝にいらっしゃる方が多いのだそうです。
    実際に歩いてみると、学業や恋愛に関する絵馬など、「火」にまつわること以外の願いごとも多くみられました。神社の歴史は古く、およそ1900年前の西暦110年に創立されたと伝えられています。伝統があるため険しい道を想像されるかもしれませんが、階段や参道の舗装は新しく、歩きやすいのでご安心ください。木漏れ日と水の音が神聖さを際立たせる場所でした。
    宝登山神社の整備された階段

    近くの茶屋には、机ごとにお茶碗と急須が置かれている嬉しいこころくばりが。昔懐かしい雰囲気の中、お土産や名産品を食してみるのもおすすめです。

     

    【長瀞グルメ】日本さくら名所100選の参道で食べ歩きはいかが?

    秩父プリンの並ぶ店先

    長瀞では、メープルシロップを使った特産品にたくさん出会えます。土地柄、昔から田畑が少なかった長瀞では、森や川を活かした産業が発達してきました。最近は、地元の楓の木からつくったメープルシロップで町おこしをしているのだとか。そう教えてくれたお土産物屋のおじさんの笑顔は誇らしげでした。「秩父プリン」は、メープル味やイチゴ味はじめ、蕎麦味もあります。水が綺麗だからこそ蕎麦がおいしい長瀞。町のあちこちで蕎麦屋の看板を目にすることができます。くるみをすりつぶして汁に入れる「くるみそば」は秩父・長瀞の名物です。昼食にもおすすめですよ。

    味噌味のたい焼き

    水が綺麗な秩父・長瀞は、蕎麦以外にも、味噌や天然かき氷・豆腐などが有名です。おしゃれな喫茶店に入ってのんびりと舌鼓をうつのも素敵ですが、ふらっと食べ歩きしてみるというのはいかがでしょうか。「日本さくら名所100選」にも選出されている小道や、色とりどりの紅葉など、季節の空気を肌で感じることができますよ。 どの方に話しかけても、長瀞愛あふれるお話を聞かせてくださいました。 味噌のたい焼きを焼いてくれたお兄さんは、次にすれ違った時にも気さくに手をふってくれ、ほんのり心が温かくなりました。

     

    【新定番】長瀞をさらに楽しむ秘訣!「自然の博物館」でほっと一息

    埼玉県立自然の博物館の展示

    岩畳のことを学ぶなら、長瀞駅から徒歩15分ほど、上長瀞駅付近にある「埼玉県立自然の博物館」がおすすめです。2012年にリニューアルオープンした館内では、化石や岩石、生息している動植物のことなどを、解説付きで分かりやすく展示しています。 何万年も前の時代の歴史が、今もこうして目に見える形で残っているというのは、奇跡なのではないかと思わされます。また、難易度別のクイズに挑戦することができたり、博物館のおすすめマークがついていたりと、遊びごごろも忘れていません。
    二階建ての博物館内は、息抜きに寄るにも程よい広さとなっています。 職員の方に質問をすると、優しく丁寧に説明してくださり、それだけで「また来たい」と思ってしまいました。「日本地質学発祥の地」の記念碑があるのもこの博物館です。博物館の向かい側には、「虎岩」という虎模様の岩があり、宮沢賢治の歌碑も立っています。

     

    【定番】国の名勝・天然記念物「岩畳」を満喫!「長瀞ライン下り」

    長瀞ライン下りの風景

    長瀞といえば「岩畳」。ここでは船の上からの景色をご紹介します。 近年ラフティングも流行になりつつありますが、風情に関しては昔ながらのライン下りに軍配が上がります。舟に向かう道中から船頭さんの小話を聞くことができますし、鉄橋には古い電車が走り、周囲の方が手をふってくださることも。舟の上では、誰もが自然と笑顔になっていました。

    ねじり鉢巻きをきゅっとしめた船頭さんには深い笑いじわが刻まれており、町ぐるみのつながりとあたたかさが垣間見えました。その日の天気や川の水位によっても乗り心地や見え方が異なるそうなので、一度行かれたことがある方にも是非また改めて体験していただければと思います。

     

    【こころくばり感じる長瀞の町】ふりむけば、ほんのりレトロな一本道

    長瀞ライン下りの風景

    昔ながらの写真館や喫茶店、まだまだお元気なおばあちゃんが売り子をしているお土産屋。また別のところにはモダンなカフェやギャラリー、熱心に蕎麦を打っているお兄さん。
    長瀞は、レトロさや人とのあたたかな“つながり”を残しつつも、新しさを取り入れている街です。旅の終わりにくるりと振り返ると、浮かんでくるのは出会った人の笑顔と大自然の香り。素敵な街では、素敵な人との出会いがあるものです。 過ごしやすく整備された街並みもまた、訪れた人へのこころくばりなのかもしれません。

    夕焼けに染まる長瀞駅のホーム

    普段であれば苦痛に感じてしまう電車を待つ時間も、旅の日ばかりは楽しみの一つ。名残惜しさを感じつつ、夕焼けにたそがれたホームでの時間は宝物となりそうです。

     

    今回紹介できたのは長瀞の魅力のほんの一部分。ご自身の目で、耳で、全身で、歴史ある自然と人のあたたかさに出会ってみてはいかがでしょうか?