島全体が御神体の美しき町
平安時代から信仰が息づき、鎌倉時代まで住むこと自体禁じられていた聖地。
荘厳な史跡と四季折々の顔を見せる瀬戸内の島には、今も尚多くの旅人が訪れています。
01まち ~宮島~
01まち ~宮島~
瀬戸内海に面する神道信仰の聖地
「宮島」の通称で知られる厳島は、広島湾西端に位置する周囲約30kmの島。松島、天橋立とともに日本三景の一つに数えられています。1923年(大正12年)に宮島全島が国の史跡名勝に指定され、1950年(昭和25年)には瀬戸内海国立公園に指定。1996年(平成8年)には「嚴島神社」が世界文化遺産に登録されました。広島駅から宮島口駅まで約25分、フェリーで約10分。いつ訪れても、厳かな空気に満ちています。
02歴史 ~宮島~
02歴史 ~宮島~
自然と日本建築群が織りなす独自の景観
宮島に人が住み始めたのは鎌倉時代。弥山(みせん)535mを主峰とする山々、原始林に覆われた山容、それらを含む島の姿に霊気が感じられることから、古くから崇拝の対象となっていました。宮島を見た弘法大師は弥山に御堂を建て、求聞持(ぐもんじ)の修法をされたそう。この時の修法で使われた火が今も燃え続けている弥山霊火堂の「消えずの火」と伝えられています。
03世界遺産 ~厳島神社~
03世界遺産 ~厳島神社~
平清盛が造営 寝殿造りの壮麗な社殿群
社伝よると創建は593年(推古元年)。日本唯一の海上神殿で、御祭神は宗像三女神と呼ばれる3人の女神様です。平安時代の寝殿造りの様式が取り入れられ、背景の山容と一体となった景観は平清盛の卓越した発想によるもの。全国に約500社あるといわれる厳島神社の総本社です。何度も再建されているにも関わらず、創建当初の建造物の面影を現在に伝える希少な建造物でもあります。
04世界遺産 ~大鳥居~
04世界遺産 ~大鳥居~
海上に浮かぶ鮮やかな朱塗りの大鳥居
国重要文化財指定の大鳥居は明治8年に再建された8代目。御神体である島の上には建物が建てられず、海上に建てられたと云われています。四つの脚を持つ木造の両部鳥居は高さ約16.6m、総重量は約60t。柱が地中に完全に埋まっておらず、根元は海中に置かれているだけ。鳥居上縁に渡された笠木と島木の中に石や砂が約5tも詰められており、鳥居はその自重で立っているのです。
05旧参道 ~山辺の古径・町家通り~
05旧参道 ~山辺の古径・町家通り~
御神体に海と山 日本の美を堪能する町並み
宮島最古の参道が山辺の古径。要害山の坂を登ると、大鳥居や五重塔、町並みを一望できます。要害山を下り、山沿いの道を進んでいくと寿山亭の土壁に女人像が安置された女人坂へ。山沿いのため急勾配もありますが、その風景は息をのむ美しさです。また、町屋通りは江戸初期に埋め立てられ、宮島が最も華やいだ時代のメインストリート。歴史の面影と自然の美しさに癒される町並みです。
06伝統 ~ 管絃祭~
06伝統 ~ 管絃祭~
まるで平安絵巻のような美しさ 雅な船神事
日本三大船神事のひとつで、旧暦6月17日に行われます。平清盛が平安貴族の船遊びを模し、神事として執り行うようになったのが始まりです。平安時代は人が住むことが許されていなかったため、対岸の地御前神社から厳島神社まで管絃船で管絃を合奏する神事を行っていました。鎌倉時代以降、厳島神社から出御し、地御前神社前の海上で祭典と管絃を奉納する現在の姿となりました。
07絶景 ~日本三景~
07絶景 ~日本三景~
桜に紅葉に 四季折々の美しさに酔いしれる
古くから景勝地として親しまれてきた宮島。春はソメイヨシノ、ヤエザクラ、ヤマザクラなど島内約1900本の桜が咲き誇ります。春の散策は厳島八景の一つにも数えられる桜の名所「谷ヶ原」を通る「うぐいす歩道」がおすすめ。秋は大聖院の麓から紅葉谷公園に至る「もみじ歩道」を散策してはいかがでしょうか。約200本のカエデやもみじが色づく様子をじっくりと楽しむことができます。
08神の使い ~鹿~
08神の使い ~鹿~
太古から生息 神の使いとして守られてきた
島内にはニホンジカが約500頭生息し、街中には約200頭が生息。西行法師が約820年前に記した「撰集抄」にも宮島には鹿が多いと書かれおり、江戸時代の厳島図絵にも描かれていることから、古くから島に住んでいたことがうかがわれます。また一時は姿を見せなくなっていたタヌキも近年出没するようになってきました。運が良ければ「白いタヌキ」も見ることができるかもしれません。
09伝統工芸 ~宮島杓子~
09伝統工芸 ~宮島杓子~
厳島・弁財天が手に持つ琵琶がモチーフ
1789~1800年(寛政)の頃光明院の修行僧誓真が考案。琵琶と形状が似たしゃもじを御山の神木で作り、それを宮島参拝のお土産として売り出したことが始まりです。広く知れ渡ったのは日清戦争の時で、兵士が宇品港から出征する際に「敵を召し取る」とばかりに杓子に自分の名を書いて嚴島神社へ奉納。現在では商売繁盛、家内安全、スポ-ツなどの勝運を願かけして奉納されています。
10名産 ~牡蠣~
10名産 ~牡蠣~
江戸時代にはじまり 現代まで続くカキ養殖
広島湾には天然のカキが多く成育しており、人々は貴重なタンパク源として古くから食していました。宮島でカキの養殖が始まったのは330年ほど前。中でも「大野瀬戸のカキ」は原始林から流れ出る豊富な栄養素を取りこんでおり、香り、味、歯ごたえとも極上と評判を呼んでいます。毎年2月には「宮島かき祭り」も開催され、カキ雑炊、フライ、浜焼きなどカキ料理を格安で堪能できます。
11郷土料理 ~あなご飯~
11郷土料理 ~あなご飯~
瀬戸内の漁師料理 秘伝のタレとともに
カキと並ぶ宮島名物が「あなご飯」です。大野瀬戸でとれるアナゴの身は柔らかく、ふっくらとした食感。脂が乗ったアナゴをかば焼きにし、それを温かなご飯に乗せたのがあなご飯です。宮島の名物料理のひとつですが、明治時代からは駅弁としても親しまれ、全国的に知名度を上げていきました。宮島や近辺のお食事処では、各店秘伝のタレを使ったあなご飯を楽しむことができます。