信州上田の魅力あふれる旧北国街道 歴史と共に歩んできた町と人
真田丸で有名になった長野県上田市にやってまいりました。
人々の生活を支えた「水」のお話しと、自然あふれる長野の旨味がぎゅっと詰まった「食」のお話を柳町の趣ある「建物」の魅力に引き寄せられて立ち寄ったお店と共に紹介します。
この記事の目次
保命水から学ぶ水の歴史と人々の生活 海禅寺から流れる命の水
長野県上田市、上田駅から約15分歩いたそこには、石畳で歴史ある建物が立ち並ぶ、とても調和がとれた街並みの「旧北国街道柳町」(きゅうほっこくかいどうやなぎまち)が広がっています。
かつては参勤交代や、佐渡金山の金の通路としてにぎわった、町がこの「柳町」(やなぎまち)です。
現在はこの古き町並みを保存する取り組みも行われていて、上田の歴史が残された観光名所にもなっています。
こちらの井戸「保命水」(ほめいすい)は1881年(明治4年)から人々の「命」を培ってきた水です。
現代は上下水道が整備されていて、蛇口をひねれば綺麗な水が出てくることが当たり前です。
しかし、その手段がまだなかった当時、ただの生きるための水でなく、よりきれいでおいしい水を求めたのが柳町の人々でした。
同市内「海禅寺」境内から湧き出る清水を木管で引きつくられた井戸は、町民の負担で度々の修繕も施され現在もなお麗しき水が流れ出ています。
とても冷たく、体にしみわたります。
北国街道の往来に人々に喜ばれたこの水を一口含み、柳町の散策をさあ始めましょう。
「旧北国街道柳町」(きゅうほっこくかいどうやなぎまち) 所在地:長野県上田市中央4丁目
【食】【住】武田信玄が生んだ⁉旧北国街道菱屋 武田味噌の優しい味
きれいな白壁に、家紋の武田菱を染め抜いた藍いのれんが目印の「旧北国街道菱屋」(きゅうほっこくかいどうひしや)は、保命水のすぐ目の前にあります。
創業1930年の歴史ある醸造所で国産原料のみを使用したこだわりの武田味噌直売店です。
こちらの店舗は、1868年(明治元年)に建築された民家で、柳町の歴史と共に歩み続け、2006年より直売店として柳町へ観光に訪れる人々を迎え入れています。
武田味噌の歴史をさかのぼると、それは武田信玄の活躍する時代に、盛んになったものでした。
信州大豆は当時から質が良く、それに着目した武田信玄が兵糧としての味噌の技法を当時の農民に伝えたことが発展のきっかけです。
店内ではお味噌汁の試飲をさせていただき、お気に入りの味噌を見つけることができます。
購入しました写真の「12割こうじ こうじみそ」は甘くてとても優しい味わいのお味噌です。
柳町は町全体が白壁の建物が多く、また家々の屋根や軒の高低差が少なく、高さがそろった整然とした街並みも見どころです。
こちらきれいな白壁も、過去には戦争の空襲被害を逃れるため、目立たないように墨で黒く塗られた時代もあったというお話を伺いました。
古き歴史ある町ならではの過去が感じられます。
旧北国街道菱屋 所在地:長野県上田市中央4-12-1
【食】関東信越国税局酒類鑑評会 最優秀賞 岡崎酒造で信州を食す
信州の広大な土地でとれたおいしい米と、山々から流れるおいしい水でつくられる日本酒は最高です。
「岡崎酒造」(おかざきしゅぞう)は1665年(寛文5年)からおいしい地酒を作り続ける歴史の詰まった酒造です。
酒造に直売店を併設したこちらは、先ほどの「保命水」と同じ通り沿い徒歩約1分のところにあります。
2015年関東信越国税局酒類鑑評会において最優秀賞の受賞履歴がある「信州 亀齢」(きれい)は、利き酒をしながら店内でじっくりと選ぶことができます。
店内には明治時代の日本画家、川船棹の絵が壁にはめ込まれていて、四季の花鳥の細やかな描写が、さらに素敵な空間を演出してくれました。
そして、この酒造の長い歴史をさらに物語るものを見つけました。
それがこちらのひな人形です。
岡崎家の江戸期ひな人形は、建物同様の歴史深さは圧巻です!
基本的には一年中展示しているということでしたが、地酒の後にはぜひこちらも一目ご覧ください!
陶器や自然派化粧品などの雑貨も販売されているので地酒に合わせて、柳町のお土産に選びにも最適です。
おいしい地酒を楽しんで、歴史を感じて、旅の思い出の品と出会える岡崎酒造へぜひ足をお運びください。
岡崎酒造 所在地:長野県上田市中央4-7-33
【食】【住】天然酵母の優しい美味しい楽しいパン屋「ルヴァン」
「お隣のパン屋さんもおいしいから行ってみてね」
岡崎酒造の方にお勧め頂いて立ち寄ったこちらのパン屋さん「ルヴァン」は、岡崎酒造の本当にすぐお隣です。
なぜならばこのお店、建物自体は酒造の一部なのです。
そのため店内、こちらもやっぱり趣があってとっても素敵な空間です。
そして、素敵な空間には素敵な方がいます。
こちらのお店のオーナー様、甲田幹夫さんです。
お店の名前「ルヴァン」というのはフランス語で「天然酵母」を意味します。
甲田さんのパンと酵母への熱い想いは、イースト菌を使わない生きたままの麦の味が楽しめ、身体にも優しいパンを誕生させました。
素材の味が体にしみわたり、本当に美味しいです。
二階にはカフェスペースがあります。
柱はむき出しで昔ながらの建築を楽しむことが出来ます。
店内には甲田さんが描いた素敵な絵が飾られていたり…
その時々で顔ぶれが違うという物販コーナーや
元々は茶室でしょうか、小さな可愛らしいお部屋や
趣ある古本市があったりと、素敵な空間と歴史ある建物の趣を存分に体感出来ます。
酒造の雰囲気ある建物も美味しいパンも丸かじりです。
おなかも心も満足でまだまだ柳町散策の続きも楽しめることでしょう!
パン屋「ルヴァン」 所在地:長野県上田市中央4-7-31
その町の過去ををたどる歴史旅、旅のテーマは決まりましたか。
歴史を介在して、その町にはいろんな魅力が詰まっています。
柳町の美味しいお水や、美味しい食べ物、趣ある建物、それらはすべて歴史が生み出した、かけがえのない日本の宝物です。
自分だけの宝物を見つけに、柳町へ旅に出ませんか。