HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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長野県青木村 田沢温泉「ますや旅館」で島崎藤村とタイムスリップ

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    長野県上田市青木村では文豪島崎藤村がかつてまだ無名だった頃、田沢温泉「ますや旅館」で、その豊かな詩情を描いたそうです。

     

     

    当時からずっと変わらない時間が流れる「ますや旅館」に訪れました。
    青木村の豊かな自然の中、いい宿、いい湯、いい人と、時代が巻き戻ったかのような素敵な空間がそこにはありました。

     

    田沢温泉「ますや旅館」の明治から変わらぬ魅力

    ますやというのは眺望のいい温泉宿だ…
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    上田駅より千曲バス青木線に乗り換え約30分、「青木バス停」降車、そこからさらに徒歩約30分で着きました。
    そこにはもう時の流れがゆったりと感じられるのどかな青木村が広がっているので、少しの距離は気になりません。
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    「千曲川のスケッチ」に登場する“いい温泉宿”こと
    田沢温泉「ますや旅館」は【今、一番住みたい村ランキング】 (『田舎暮らしの本』‹宝島社発行›) 第1位の長野県小県郡青木村にあります。
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    登録有形文化財に指定される、白い土蔵と木造建築からなる宿泊棟は小さな温泉街の中でも特に歴史の香りが漂う本当に素敵なお宿です!
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    趣ある玄関をくぐると、そこには時代が巻き戻るとはまさにこのことだと納得できます。
    レトロで素敵な空間と、旅の道中を気遣ってくださる温かいお宿の方が迎え入れてくれます。

     

     

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    歴史と共に歩んできた「ますや旅館」は創業1868年(明治元年)、施設内には昔からの品物も数多く残されていて、今もお変わらぬ姿のまま、古き良き空間を楽しむことが出来ます。
    それでは、ますや旅館で皆さまご一緒にタイムスリップの時間です!

     

    島崎藤村と同じ景色を望む「藤村の間」とますや旅館の部屋の魅力

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    「島崎藤村ゆかりの宿」でありかつて藤村が宿泊したこちらのお部屋は「藤村の間」として、現在も青木村に足を運ぶ人々を温かく包み込んでいます。
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    お部屋はまるで、おばあちゃんのお家に行った時のようなほっと安心する空間が広がっています。

     

     

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    藤村はこの場所で、千曲川の風情を描いたのでしょうか。
    穏やかな青木村を一望でき、なんだか詩的な言葉が浮かびそうです。

     

     

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    壁には藤村ご子息直筆の書が掛けられて、藤村が滞在したときから変わらない景観が保たれていることが記されています。

     

     

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    障子の枠が、少し斜め下向きに取り付けられているのがわかりますか。
    これは昔の家ならではの埃が溜まりにくいための工夫です。

     

     

    そんな昔の暮らしの心がうかがえる部屋は、藤村の間以外もにもあふれています。

     

     

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    それぞれの部屋で欄間や掛け軸等が異なっていて何度足を運んでも楽しめる空間がそこにはあります。

     

    お宝発見!時代と共に歩んできた歴史があふれるますや旅館の魅力

    明治から、時代と共に歩み続けたますや旅館には、歴史を感じる品々が館内いたるところに潜んでいます。

     

     

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    石川丈山とは江戸時代初期の文人として名が知られており、元々武士の一族に生まれながらにしてその身分を捨てた少し変わり者と呼ばれる人物です。
    こちらはとても価値ある掛け軸ですので、現在客室には飾られていませんが、依頼をすると快く見せてくださいました。

     

     

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    こちらは明治時代にますや旅館が描かれた「銅版画」です。
    版画という点において歴史を感じますが、それだけではなく、この版画の中には今も形変えることなく残される棟があることには驚きです!

     

     

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    こちら大正期のますや旅館は古写真として残されています。
    現在の姿に少し近づきました。

     

     

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    玄関入ってすぐには島崎藤村の写真や、このお宿を訪れた数々の著名人のサインが所狭しと並べられています。

     

     

    思わずあたりをキョロキョロと見まわしてしまう見どころいっぱいの館内でお宝探しをお楽しみください。

     

     

    階段,卓球,温泉!「ますや旅館」にぎゅっと詰まったあふれる魅力

    古き良き建物には、昔の人の暮らしが詰まっています。
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    廊下いっぱいに広がる立派な階段が客室に向かう私たちを迎え入れてくれます。
    幅が広く、段の高さが低いことが特徴です。
    これは女性の着物がはだけてしまわないためで、昔の建築家の心遣いが感じられます。

     

     

    温泉宿に来たら卓球がしたくなるのはなぜでしょうか…
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    日本一古いとされる卓球台が、ここにあります。

     

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    一枚板の木でできた卓球台は、風情があり、室内に素敵な音色を響かせます。
    この卓球台、実は映画にも出演しました。
    卓球イベントで廃れた温泉街を復興しようとするコメディ映画で撮影期間は貸し切りで収録が行われたそうです。
    館内には映画のポスターもありますのでご注目下さい!

     

     

    卓球で汗を流した後の温泉は最高です。

     

     

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    「子宝の湯」としても有名な田沢温泉は低めの温度でゆったりと温まることが出来ます。
    お湯につかると小さな気泡が全身を包み込み、まるで乳液をまとっているかのような不思議な感覚です。
    こちらは入浴のみの日帰り温泉での利用もできるので、一度ますや旅館に立ち寄ったらもう温泉とお宿の雰囲気と、その全ての虜になること間違いありません!

     

     

    ますや旅館でのタイムスリップの旅はいかがでしたか。
    空間すべてがとにかく本当に素敵で、ここでは伝えきれない魅力がまだまだたくさんあります。
    島崎藤村の愛したますや旅館、未来もきっと、今度は皆さまの大切な空間としてこれからの時代を生き続けることでしょう。
    所在地:386-1601 長野県小県郡青木村田沢温泉2686