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バラエティに富んだ魅力がたくさん!宗像・大島散策を満喫 歴史旅

  • 福岡県宗像市・神湊渡船ターミナルよりフェリーおおしまで約25分、旅客船しおかぜで約15分の「大島」。
    響灘と玄界灘の境界部に面する大島は、筑前大島ともいい、宗像七浦の一つです。
    島の周囲は、約15キロメートル。約333世帯700人弱の人々が暮らすのどかな場所には、どんな歴史が待っているのでしょう。

     

     

     

     

     

    天の川の秘密は湧き水にあり?七夕伝説発祥の地 宗像市大島へ出航
    <写真01_船からの大島>

    まずは、大島港より徒歩約4分の「七夕の伝説地」を訪れました。
    <写真02_天の川>
    実はこの場所は、宗像大社中津宮(むなかたたいしゃなかつみや)の境内にあります。
    <写真03_天真名井標識>
    中津宮に向かって左手の道を進むと、真湧水が湧き出る「天真名井」(あめのまない)にたどり着きます。
    周囲の様子からは、動物が生活している様子も伺え、多くの命を支える場所であることを感じました。
    <写真04_天真名井>
    天真名井から湧き出た水は、天の川に流れ込んでいます。
    天の川といえば、年に一度7月7日に唯一会うことが許される織姫と彦星が思い浮かびますね!

     

     

    <写真05_天の川>
    伝説ではその昔、唐に使えに行ったある貴公子がいました。
    貴公子は、機織りを仕事とする女性「織女」を大陸から連れ帰り、恋に落ちますが、その後二人は離ればなれになってしまいます。

     
    貴公子が織女を想う日々のある夜に、夢で神のお告げがあり、大島の中津宮を訪れました。
    そして天の川にたらいを浮かべて、水面に映る織女との逢瀬を楽しみにし、神仕えの身になったと伝えられています。

     
    <写真06_織女神社>
    <写真07_牽牛神社>
    そんな伝説が残る天の川を挟んで、「織女神社」(しょくじょじんじゃ)と「牽牛神社」(けんぎゅうじんじゃ)が鎮座しています。
    ロマンチックな伝説の地を訪れ、毎年七夕の日が晴れて二人が会えることを願わずにはいられませんでした。

     

     

     

     

     

    宗像大島の風物詩 風車展望台から望む360度のパノラマと歴史の跡
    <写真08_風車>

    続いて訪れたのは、大島港より車で約15分、島の北部に位置する「風車展望所」です。
    大島で出会った塩ジィこと河辺さんが案内をしてくださいました。
    道中には瀬山牧場があり、牛や山羊などに出会うことができます。
    温暖な気候で餌となる良質な草がある大島では、黒田藩の時代から牧場があり、最盛期には360頭ほどの黒毛和牛が飼育されていたそうです。
    <写真09_砲台跡>
    風車展望台のすぐ近くには、「砲台跡」があります。
    下関要塞の一環として1936年に砲台が完成し、明治初期の陸軍の創設以来、北部九州沿岸一帯の要塞では砲台の建設を行い、防衛の強化を図ってきた歴史があります。
    <写真10_中へ>
    当時の観測所も残っており、中に入ってみました。
    <写真11_弾薬庫>
    弾薬庫が残る様子から、戦時中の緊迫感がひしひしと伝わってきました。
    <写真12_観測所からの眺め>
    観測所からは北九州から関門まで一望でき、戦争当時の司令所としても機能し、対馬と壱岐の間を行き交う船を見渡すことができたそうです。

     

    <写真13_丘>
    観測所をでると、近くの丘がハート型のように駆られていました。
    粋なはからいから二度と戦争が起らないようにと、平和を願う気持ちが伝わってきました。

     

     

     

     

     

     

    恋に効く島~大島~を散策 自然が生み出した美しい景観を堪能!
    <写真14_海辺風景>

    つづいて、大島港付近を散策してみると、こんな案内を見つけました。
    <写真15_干洲手書き案内>
    ここから左へ歩くと、干洲(かんす)の岩場があります。
    干潮の際、浜と陸つづきになるこの岩場には、恋の伝説があり手を繋いで向こうまで渡り切ると結ばれるというロマンチックなお話があるそうです。

     

     

    <写真16_干洲>
    さきほどの干洲の案内は、実は河辺さんが手書きをされたそうです!
    島の伝説を語り継ぐ、島人ならではの案内に心がほっこりしました。

     

     

     

    <写真17_夢の小夜島>

     

    その少し先には、「夢の小夜島」が浮かんでいます。
    海中に立つ、趣きある朱色の鳥居と島を覆う松の緑が美しく、室町時代の連歌師・飯尾宗祗が歌った島としても有名です。

     

     

     

     

     

    大島に受け継がれる歴史の足跡~安昌院~景勝地に眠る歴史人を訪ねる
    <写真18_石段>

    最後に、大島港より徒歩約10分の「安昌院」(あんしょういん)を訪れました。
    <写真19_道>
    そのすぐ隣に、平安時代に東北で猛威をふるった奥州の豪族・安倍宗任のお墓があります。
    宗任は、父・頼時、兄・貞任とともに源頼義と戦った前九年の役で敗れ、四国の伊予に流され、その3年後に大島に配流されました。
    安昌院は、宗任が自らの守り本尊として奉持した薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)を安置するために建てられたそうです。

     

     

     

    <写真20_安倍宗任の墓>
    1108年に77歳で亡くなった宗任は、今もこの大島の景勝地で眠っています。
    大名・宗像氏によって、日朝・日宋貿易の際に重要な役割を果たしたとも考えられている宗任。
    今も絶えず供養の御花が供えられており、歴史への敬意を大切にする大島の人々の想いを感じました。

     

     

     

     

    玄界灘に浮かぶ大島に残る歴史的名所をぎゅっと凝縮してお届けしました。
    フェリー乗り場では、河辺さん手作りの女神の塩やアカモク石鹸をなど大島の自然を活かしたお土産も購入できます。
    七夕伝説・自然を感じる丘に、恋のご利益とついつい行ってみたくなる見どころがたくさんの大島を是非訪れてみてはいかがでしょうか。