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神の住む山・佐白山で 神の領域足を踏み入れ文化財「笠間城」探索!

  • 古くは城下町・門前町として栄えた茨城県の笠間市。

     

    江戸時代後期には、八万石を誇る笠間城がありました。
    現在ははっきりと面影を見ることはできませんが、山のいたるところにそこに城があったことを物語る遺講が残されています。
    今回は、そんな笠間城について歴史とともに見どころを紹介します!

     

     

    藤原時頼が築いた山城・笠間城!神秘的な苔むす石段 登る先には?!
    <写真01_alt:笠間城昔の見取り図>

    笠間駅から約5分で笠間稲荷神社からもほど近いところに佐白山(さしろさん)があります。
    佐白山には、古くから正福寺や百坊がありました。

     

    信仰の山として栄えていましたが、鎌倉時代初め、正福寺と徳蔵寺の僧兵たちが勢力争いをしていたため、宇都宮頼綱に命じられて下野国からつかわされた藤原時朝が、正福寺と百坊を滅ぼし、山頂の寺院があった場所に笠間城を築いたという歴史があります。
    関東においては「近世山城」という存在自体がかなり珍しい城跡のケースで、石垣の天守台や移築現存櫓まである笠間城は異例中の異例として専門家に注目されています。
    関東の城郭には珍しい石垣が多くみられ、「守るに易く、攻めるに難い」山城だったようです。
    千人溜まり跡から雰囲気のある山道を、大手門跡の史跡を通り過ぎながら5分ほど登ると、本丸のあったひらけた場所に抜けます。

     

    <写真02alt:市指定文化財の笠間城跡>
    市指定文化財の笠間城跡地です。

     

    一見どこにあるのかわかり辛いと思われますが、この地一帯に八幡台跡(現在真浄寺に移設)の史跡や史跡が多数点在しています。よく目を凝らしてみてください。

     

     

    笠間城が築かれる前、佐白山の頂上には「佐志能神社」という神社がありました。
    また、651年佐白山頂に真言寺院の「三白山三白寺(さしろさんさしろじ)」の伽藍が作られたという伝承が伝わっています。
    佐白山はかつて“三白山”と呼ばれていました。
    その由来は、三匹の白い動物からきています。
    神様のお使いの白い雉、白い鹿、白い狐が住んでいる山というところから「三白山」と呼ぶようになったそうです。
    歴史の変遷を知ると、目の前に広がる情景から当時の様子を想像してしまいます。是非足を運んでみてください。

     

     

     

    関東で一度は訪れるべき!笠間城天守台神の世界へいざなう佐志能神社

    笠間城跡地から、笠間城天守跡の横を通って石階段を登って進みます。
    <写真03_alt:神社へと続く石段>

     

     

    <写真04_alt:天守跡>
    すると、石と石の間から木が生えた、天守曲輪の入り口に当たる立派な笠間城天守跡が見えてきます。
    現在ここから先は東日本大震災により一部が崩れてしまい、途中までしか登ることはできません。
    笠間市は、関東には珍しい石垣のある山城を後世に残そうと、2011年から基礎調査を開始しました。
    すると、笠間城跡地は国指定史跡と同等の価値があるかもしれない可能性があると分かったそうです。
    十数年後には、この史跡がきれいに保護され笠間城の歴史を伝え続けているかも知れません。

     

     

     

    <写真05_alt:佐白山神社>
    山頂にある「佐志能神社」付近には、爽やかな風が流れ、まるで本当に神の世界に来てしまったかのような不思議な空気が漂っています。
    この佐志能神社拝殿は当時の天守の廃材を再利用して作られていて、裏手には天守の瓦も見ることができます。

     

     

    ついつい長居したくなる何ともいえない気持ちよさの中、天守から見たであろう景色を後に、ゆっくりと下山します。

     

     

     

    見逃し注意!坂本九の疎開先・笠間 些細な場所にも歴史は残る

    笠間城跡地へ行く際の、ちょっと寄り道スポットを2か所訪ねました!
    わざわざ目的地として行かない時でも、寄り道感覚でもっとたくさん楽しめたら楽しいですよね。
    気づいたら通り過ぎてた!というくらいひっそりとあるスポットなので、見逃さないようしっかり目を凝らしてくださいね。

     

     

    <写真06_alt:大黒石>
    まず1つ目は「大黒石」です。
    鎌倉時代初め、佐白山の僧兵と七会の徳蔵寺の僧兵が勢力争いをしていた時のこと。
    佐白山の僧兵は戦いに敗れて佐白山山頂まで逃げのびた際に山上にあった大黒石を転がしたそうです。
    転げ落ちた大黒石に徳蔵寺の僧兵は押しつぶされ、佐白山の僧兵は生き延びることができたという逸話があります。
    少々怖いお話ですが、石一つにも歴史を感じることができました。
    そして2つ目は「九ちゃん」こと坂本九が幼少期に過ごしたお家です。
    「上を向いて歩こう」はご存知だと思いますが、笠間に九ちゃんゆかりの場所があったということを知っている方は少ないことでしょう。
    ここ、笠間には幼少期、戦時中疎開するために川崎から移ってきたようです。

     

     

    結婚式は日本三大稲荷である笠間稲荷神社で挙げ、市内パレードもしたようです。
    市立笠間幼稚園には九ちゃんが寄付したピアノが現在も使われていたり、笠間市内のJR常磐線では各駅のホームの出発メロディーで「上を向いて歩こう」や「幸せなら手をたたこう」が使われていたりと、今なお九ちゃんの面影を感じることができます。
    現在、なんとか九ちゃんのお家を残そうと「笠間九ちゃん会」の方が努力していますが、建物はいつ壊れてもおかしくないような廃墟同然の様子です。
    現存する難しさをひしひしと感じ、何年後かには無くなってしまっているかもしれない危機感を感じました。
    笠間城跡地や佐白山神社へ行くまでには、ハイキングコースもあります。
    約1時間ほどで登頂できる気軽さから、平日もちらほらとハイキングをする夫婦やカップルが訪れています。
    もし、参道で誰かと擦れ違った際には挨拶をしてみてください。

     

    気さくな方が多く、思いがけない穴場スポットや地元の方の想いも感じることができます。