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鳥取倉吉3人の仏師が手掛ける手彫りの芸術「福の神」

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    鳥取県倉吉には、白壁土蔵群の町並みを求めて多くの観光客が足を運びます。
    その白壁土蔵群周辺に、木彫りで造られた「福の神」がたくさんいらっしゃるのはご存知でしょうか。
    今回は倉吉を散策する際にあえる「福の神」をご紹介します。

     

     

     

    ~福の神にあえるまち 倉吉~のはじまり

     

     

    恵比須天や大黒天といった七福神が有名な「福の神」。
    福の神の誕生について、室町時代の商人が発祥であるという説があります。当時農業の生産性の拡大や交通網の発達によって、自給自足から商品経済へと移行していきました。
    その中でも政治経済の中心地であった京都の商人たちは、商売には多彩な才覚が必要であると考えます。
    そこで商売をする土地の神である氏神にとどまらず、学問や芸能などを司る神も信仰するようになり、現在に至るという説です。

    そんな福の神信仰がはじまったとされる京都で、仏像を造る職人「仏師」を目指して修行をした3人の人物がいました。
    その3人こそ倉吉の福の神を造る、倉吉出身の3人の仏師 仲倉裕朋師、小谷和上師、山本竜門師です。
    倉吉を「福の神にあえるまち」にしようと声をあげたのは、山本竜門師。
    京都での修行を終え、倉吉に戻ってきた山本竜門師は、地元の活性化のために何かできないだろうかと考えます。そして「幸せを呼ぶ福の神で、観光に来てくださった方に幸福を感じていただこう」と提案したそうです。
    また七福神や釈迦に限定せず、自由に福の神を造るようにして、観光客の方々が固い印象を抱かず楽しめるようにしているのだとか。

    現在倉吉には40体もの福の神がいらっしゃいます。
    木彫りで造られているため、ひとつとして同じものはありません。
    散策途中に幸せを願って、福の神を探してみましょう。

     

    倉吉白壁土蔵群観光案内所で観光客をお出迎えする「ようこそ恵比寿」

     

     

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    40もの福の神がいる倉吉で、観光客の方々が最初に出会うのは、山本竜門師作 福の神「ようこそ恵比寿」です。
    ようこそ恵比寿がいるのは、倉吉白壁土蔵群観光案内所。
    有料ロッカーや観光マップなどが置かれているため、観光する前に訪れる方が多くいらっしゃいます。
    そのため「ようこそ恵比寿」は福の神を代表する、倉吉観光のお迎え役です。
    大きく口を開けて目尻にシワを作りながら、朗らかな笑みを浮かべています。
    ようこそ恵比寿の笑顔を見ると、晴れやかな気持ちで散策に出られる気がしますね。

     

     

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    次にご紹介する福の神は「赤瓦七号館 元帥酒造」の前に立つ、山本竜門師作 「福禄寿(ふくろくじゅ)」です。
    「福は幸福、禄は収入、寿は長生き」を意味しています。
    幸せだけではなく、金運のご利益をお望みの方は必見です。
    なんとこの福禄寿は2003年に起きた白壁土蔵群の火災から、元帥酒造を守ったという逸話が残されています。

     

     

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    他にも福禄寿を置いている店舗があります。
    こちらは「赤瓦六号館 桑田醤油醸造所」です。
    元帥酒造の福禄寿はお店のドアを越えるほどの高さがあるのに対して、桑田醤油醸造所の福禄寿は小さくかわいらしい印象です。
    同じ仏師が作ったものでも、形や大きさ、表情が違うのは手彫りならではの魅力ですね。

     

     

     

    明治の町屋 清水庵にひっそりとたたずむ美の神様 吉祥天

     

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    今回最後となる福の神を求めて訪ねたのが、明治時代の町屋 清水庵。

     

     

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    清水庵の奥に「吉祥天」がいます。
    」のご利益があることから、女性に人気の福の神です。
    」に携わる美容関係の方も、吉祥天にお祈りしてみては。

     
    ちなみに清水庵では、おいしい「餅しゃぶ」がいただけます。
    薄くスライスされたお餅に、野菜や鴨団子が付いています。
    見た目がカラフルな12種類のお餅で、抹茶やブルーベリーといった味も。
    それぞれほのかに味や香りがします。
    倉吉散策のランチに餅しゃぶを食べてみてはいかがですか。

     

     

     

    白壁土蔵群周辺では、他にもさまざまな表情を見せる「福の神」に会うことができます。
    散策しながら、福の神にお祈りして幸せをたくさん掴みましょう。
    「福の神」のマップもあるので、全部巡りたい方はぜひ観光案内所で聞いてみてください。

     

     

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