HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

HISTRIP MAGAZINE icon HISTRIP MAGAZINE

かつての賑わいを取り戻した福井県若狭町「熊川宿」の変遷に迫る

  •  

     

     

    現在の熊川宿では、賑わいを取り戻し、かつての宿場町の町並みを味わえます。
    今回はこの地に住む方々の想いに触れる旅へ出かけてみましょう。

     

     

     

     

    福井県若狭街道の熊川宿が歴史的価値を見出す「重伝建」に注目する

     

     

    <01_alt:近江今津駅>
    JR湖西線近江今津駅から小浜行きのバスに乗ること30分、見えてくるのは道の駅若狭町熊川宿。

     

     

    <02_alt:alt 道の駅>

     

    <03_alt:alt 入口提灯>
    この道の駅は熊川宿の人々の協力があり建てられたものです。

    熊川宿が現在の景観を維持し、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されるまでの背景をひも解きます。

    1981年、熊川宿の歴史的価値に注目した福井大学の福井宇洋は、熊谷宿の街並み調査を行い、『若狭街道の熊川宿』のを作成し、建造物に関する基礎的資料が整えました。
    その後、1,983年に国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を前提とした条例と計画案が策定されましたが、条例と計画案には、建物の価値に焦点が当てられたため、住民の町並み保存に関する意識は徐々に薄れていってしまいました。

     

     

     

    熊川宿崩壊の危機!?住民の想いと努力から町並み保存の活動へ

     

     

    %e3%80%880%ef%bc%94_kumagawajuku_%e3%80%89
    宿場館で受付をしていた、現在の『若狭熊川宿まちづくり特別委員会』の名誉会長である河合健一さんにその当時のお話を伺うことがことができました。
    河合健一さんは、現在の若狭町歴史文化館(若狭町歴史文化課)課長(学芸員)である永江寿夫さんと共に熊川宿のまちづくりを促進してきた方です。
    河合さんが町づくりを決意したのは1993年1月、熊川宿においてとても重要な建物である逸見勘兵衛家が崩れてしまったことがきっかけでした。

     

     

    <06_alt:alt 井上呉服店>
    河合さんは当時のことを「逸見家の家がくだかれたんや。これはいかんと思った。このままやったら町が終わってしまう」と振り返りました。その後、河合さんは住民の意思をまとめるため、ここに住む人が良いと思う、一番住みよいと思うまちづくりをすべく、「静かな綺麗な町づくり」をスローガンにかかげ、そのスローガンが最終的には旅人誘致ににつながるよう、個々人が店をPRして頑張っていこうという方針を打ち出しました。

    町長と話し合った結果、外観は古い町屋そのままに、内部をリノベーションして現代風に改修しました。

     

     

     

    <06_alt:alt 逸見家内部>
    河合さん曰く、当時は小浜市に行くより東京に行く頻度の方が多かったそうです。
    河合さんの努力の結果、1,996年に熊川宿は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定される運びとなりました。

     

     

     

     

    福井県若狭町の熊川宿 現会長の想いと更なる発展を遂げるまち創り

    また、河合さんが知事と話し合い、住民の方々によって土地を用意した結果、道の駅若狭熊川宿をオープンすることに成功します。

     

     

    <07_alt:alt 道の駅>

     

     

    さらには鯖街道の終点である出町柳からは1923年創業の「井上呉服店」さんのオーナーである井上直也さんが熊川宿の逸見家の分家を利用し、店を開いてくれるなど、活気づいています。

     

     

    <08_alt:alt 井上呉服店>
    資料館課長である永江さんは「終点の出町からオーナーさんが来てくれたんだ」ととてもうれしそうに話してくれました。

    『若狭熊川宿まちづくり特別委員会』の現会長である宮本哲男さんは、熊川宿の活動についてこう語った。「今の熊川宿があるのは、永江さんと河合さんが協力して頑張ってきたからや。いくら行政がまちづくりをしなさいと言ってきたところで、わしらは動く気にはならん。永江さんと河合さんが言うからわしらも協力してまちづくりをしようと思うんや」とおっしゃっていました。

     

     

    <09_alt:alt 大河ドラマ誘致看板>
    現在の熊川宿は町並みの景観を整え、毎年開催している熊川いっぷく時代村には毎年約1万6千人が訪れるようになり、多くの旅人で賑わっています。
    熊川宿はNHK大河ドラマの誘致活動を行っており、ますます熊川宿が発展していくことを願います。

    所在地 : 〒919-152 福井県三方上中郡若狭町熊川

     

    今回の記事では熊川宿のまちづくりについて紹介しました。
    そんな熊川宿のまちづくりの活動は、住民の暖かみと熱意によって成し遂げられたものです。そして、そのような住民の志に惹かれ、また新たな住民や観光客が引き寄せられているのかもしれないと私は感じました。