HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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養父でかつて栄えた「明延鉱山」を知り 鉱山見学の魅力を堪能する

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    「明延(あけのべ)鉱山」をご存知でしょうか。「明延鉱山」とは明治時代から昭和時代の間大いに栄えた、養父市を代表する鉱山です。
    この地域には、今もその過去を知ることのできる場所や物がたくさん残されています。
    今回は、そんな明延鉱山の過去と今についてご紹介いたします。

     

     

     

    養父に眠る 過去に栄えた町「明延鉱山地域」の概要 歴史を知る!

     

     

     

    まずは、そんな「明延(あけのべ)鉱山」が、どういったところであったのかご紹介していきます。
    明延鉱山地域へは、大阪から車で養父へ向かった際に通る「和田山IC」から車で約1時間でアクセスできます。

     

     

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    養父市大屋町に存在する明延鉱山では、スズ鉱山が発見され、1987年の閉山まで国内のスズの90%以上を産出し、日本一のスズ鉱山として栄えていました。下図は、当時のスズの鉱脈の写真です。

     

     

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    最も栄えたのは1957年頃であり、鉱山の労働者は約1900名にも上りました。そして、その労働者の家族も含め、当時この地域には約4300名もの人が在住していました。更に、ここで働く労働者であれば金銭に困ることもなく、当時のこの地域は毎日がお祭りのようであったそうです。これらの歴史から、明延鉱山は日本の「近代化産業遺産」にも選定されています。

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    閉山して数十年が経った今も、地域の人々によってこの鉱山は大切に、綺麗に守られ続けています。
    想像していた以上にこの地域の方々の鉱山への想いが感じられ、守っていきたいという意思をくみ取ることが出来ました。

    所在地 : 兵庫県養父市大屋町明延

     

     

    養父の明延鉱山「探検坑道」に参加し 鉱山内の様子を肌で感じる

     

     
    明延鉱山の最も魅力的なところ、それが鉱山内の見学や説明が聞ける「日曜坑道見学会」です。毎週日曜日に行われているこの見学会では、実際に明延鉱山内に入り、現地の方の説明を受けながら鉱山内の散策が出来ます。

     

     

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    上図は、坑道の入り口です。この入り口から見学がスタート!

     

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    取材日は25度を越える暑い日でしたが、中に入ると途端に気温が低くなります。鉱山内は年中12~14度で、ほとんど気温の変化がないそうです。夏に見学に訪れる際は、防寒対策を忘れないようにしましょう。

     

     

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    坑内では、その年中の定温という特徴から、企業のお酒の貯蔵庫として今も使われているところが存在します。この特徴はお酒を造るのに非常に適しているそうです。鉱山が今もこのような形で有効活用されているというのは驚きです。

     

     

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    道中には、当時実際に利用されていた機器の数々がそのまま残されています。過去の機器であることや、鉱山特有のものであることから、見慣れないものばかりですが、それらの利用方法などについても詳しく説明をしてくださいます。
    例えば右図の器具、これは上向きに穴を掘り進めるために利用された採掘器具です。このように、坑道内や当時の機器について、過去の生活や人々の暮らし、そして明延鉱山の功績も踏まえてご説明してくださいます。

    筆者も実際に参加しましたが、中は安全の範囲内で本当に当時のままの様子が残されており、普段決して見ることのできない鉱山内探索を存分に楽しみ学ぶことが出来ました。

     

     

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    所在地 : 兵庫県養父市大屋町明延

     

     

     

    「明延ミュージアム」で養父市明延の過去の記録を目で見て学ぶ!

     
    坑道見学出発地から徒歩10分ほどのところには、「明延ミュージアム」があります。

     

     

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    上図に「第一浴場」とあるように、ここは当時、労働者やその家族など、明延鉱山地域に住む人々のための集会浴場でした。現在ではここが、明延鉱山地域の当時の備品の数々を展示する「明延ミュージアム」として利用されています。

     

     

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    こちらは、明延鉱山内で採掘が出来た鉱物の数々です。地域の方々の努力により、これら鉱物が綺麗に採掘され展示されています。ここで、明延鉱山でどのようなものが採られていたのかを生で触れて知ることが出来ます。

     

     

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    これらは、鉱山労働者がかつて使用した備品や、この地域を走った鉄道及び小学校の備品です。
    このように、当時の様々な備品がそのままの形でたくさん展示されています。更に、実はこの建物自体にも当時の魅力が感じられるところがありました。

     

     

     

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    こちらは建物の屋根を撮影したものです。左と右で明らかに屋根が違うのが分かります。改修により綺麗になったこの旧集会浴場ですが、当時の面影を味わうことのできる工夫が所々になされています。この屋根の場合、右側は改修されたものですが、左側は当時のままに残されています。
    実際に訪れた際には地域の方が明延鉱山そしてミュージアムに飾られた物品の数々について、熱を持って語ってくださり、当時の様子や思いが非常に伝わりました。

    所在地 : 兵庫県養父市大屋町明延

     
    明延鉱山の、過去の様子を守り抜く姿をお伝えできたでしょうか。明延鉱山のように、鉱山の様子を肌で感じ、、理解することのできる場所は日本では多くありません。
    そして、この鉱山の本当の魅力や面白さは実際に自身で体感してこそわかるものです。養父に訪れた際にはこの明延鉱山に訪れることは欠かせませんよ!