豊臣秀吉を祀る全国の豊国神社の総本社 京都「豊国神社」
豊臣秀吉が祀られている豊国神社(とよくにじんじゃ)。京都市東山区にその門を構え、「ほうこくさん」と京都の人々から親しまれています。
境内には秀吉にまつわるものであふれ、歴史好きにはたまらないスポットですよ。
豊臣秀吉を祀る豊国神社 復興の道を開いた秀吉の精神とは
【尊王の精神が支えた豊国神社】
1598年伏見城で生涯を終えた豊臣秀吉は自身の遺言により、比叡山から稲荷山まで続く東山連峰の秀峰「阿弥陀ヶ峰(あみだがみね)」に埋葬されます。のちに後陽成天皇により「豊国大明神」の神号を与えられ、「豊国社(とよくにのやしろ)」が建立されました。日本最初の権現造りで壮麗にして雄大な社殿であったそうですが、1615年の大阪夏の陣後、徳川幕府によって取り壊されてしまいました。
それから200年以上の歳月を経て、明治天皇の御沙汰により再興されることとなりました。きっかけとなったのは、全国統一を成し遂げたにも関わらず幕府を開かなかった秀吉の「尊王の精神」。現在の豊国神社は秀吉の精神によって蘇ったといえます。
【伏見城から残る遺構「唐門」】
神社内を進むと正面に豪華な唐門が目に飛び込んできます。唐門は桃山文化を代表する建築のひとつとして国宝に指定されており、もともとは秀吉が暮らしていた伏見城にありました。
伏見城から二条城へ、二条城から金地院(こんちいん)へ移されたそうです。そして一度は秀吉のもとを離れた唐門が秀吉のもとへ帰る形で、豊国神社に移築されました。
きっと秀吉も喜んでいたでしょう。
黄金好き・派手好きの秀吉好みに合わせて随所に貼られた金箔や登竜門の彫刻はとても豪華でした。同時に秀吉の偉大さを感じさせるほど圧倒的な存在感を放っていました。
所在地 : 〒605-0931 京都府京都市東山区大和大路通り正面茶屋町530
豊国神社の境内にあふれる秀吉のトレードマークを探そう
【秀吉のこだわりが詰まった豊臣家の家紋】
戦国時代の華ともいえる家紋。みなさんは豊臣家の家紋をご存知ですか?
豊臣家の家紋は、菊紋に次ぐ名誉ある紋として尊重されていた「桐紋」です。
織田信長の家臣であったときは「五三桐」、豊臣の姓を受けたときから「五七桐」を使用していました。
秀吉は家臣たちにも五七桐を与えていたため、新しく「太閤桐」を作ったそうです。太閤桐を好んで飾調度品、工芸美術品、建築彫刻、城の外装などをはじめとして、色々なものに使いました。
芸術に関心のあった秀吉ならではのこだわりかもしれませんね。
【境内で見られる五七桐】
後陽成天皇から賜った正式な豊臣家の家紋である五七桐は、豊国神社のいたるところで見られます。
手水舎やちょうちん、門の装飾の細かいところまであるので、探してみるのも豊国神社の楽しみ方のひとつです。
【秀吉のトレードマークひょうたんに願いを添えて】
もうひとつ秀吉のトレードマークといえば「ひょうたん」です。
秀吉は戦場でひょうたんが描かれた旗を自分の馬の近くに立てていました。
そのことから豊国神社の絵馬はひょうたんの形をしています。
絵馬ひとつひとつの木目も異なっているので、好みのものを吟味しましょう。
絵馬はひとつ500円で購入できるので秀吉の勝負運にあやかって願い事を記入してみてはいかがですか。
秀吉をもっと深く知りたい方は豊国神社宝物館・耳塚へ
【豊国神社宝物館とは】
豊国神社を訪ねたら、ぜひ足を運んでいただきたいのが宝物館です。
1925年に境内に建てられた宝物館では秀吉ゆかりの宝物が常時公開されています。
拝観には一般300円の拝観料が必要ですが、宝物館を見学することで歴史や文化をより深く理解できますよ。
【宝物館にある宝の数々】
宝物館内には「豊国祭礼図屏風」や「鉄灯篭」といった重要文化財に指定されているものから、秀吉の武具まで数多く展示されています。
豊国祭礼図屏風は狩野派の絵師 狩野内膳が1604年に行われた秀吉の七回忌の大祭礼を描いたもので、当時の様子がよくわかる貴重な資料です。
大祭礼で舞い踊る町の人々の中には少し風変りな人もいるので、じっくりと見てみてください。
秀吉に仕えていた加藤嘉明に秀吉本人が送ったとされる「秀吉の歯」といった変わった展示物もありました。
【兵士の霊を弔う耳塚】
お時間のある方は、宝物館の後に「耳塚」へもお立ち寄りください。
竹林を抜け、豊国神社正面の石段を下りておよそ30メートルのところには高さ約5メートルの五輪塔があります。
秀吉が朝鮮へ出兵した際に、武将たちが首の代わりに持ち帰った鼻や耳を埋葬したもの。
秀吉は「敵であれ国難に殉じた兵士の霊を厚く弔うべし」と心得ていたそうです。
その心に深く敬意を表すとともに、弔いの祈りをささげました。
秀吉の生き様を今に伝える豊国神社、いかがでしたか。
創建から再建の経緯、豊臣家の家紋、数々の宝物、どれも秀吉とのつながりや背景を知って見てみると、より多くのことを感じ取れるかと思います。
お時間のある方は、秀吉の妻ねねのゆかりの地「高台寺」へも足を運んでみてくださいね。